幼児がお金を稼ぐことに挑戦した日。《その4》

幼児が稼ぐことに挑んだ「こどもふろしきいち」、後半戦。

5つの指輪と1つのブレスレットが売れて、気がつけば残るアクセサリーは2個。

一番小さな水色の指輪と、水色のブレスレット。
何度か小学生やお母様方が手にとってくれたけど、残ってしまっていました。

残った理由は明白。

「サイズ」が合わなかったからです。


実は、ビーズアクセサリーを売るのは今回が2回目。
はじめての時は、ブレスレットを4つ作りました。サイズはあまり考えず、可愛いと思う分だけビーズを通して作ったもの。買ってくれたのは全員お友達で、同い年と小学校低学年の子でした。

つけてもらったとき、少し彼女達には大きかったことを娘は覚えていました。


「あの時買いに来てくれたお客さんに、もっと喜んでもらえるように指輪とアクセサリーをサイズをぴったりに作る!」

そうして今回のサイズは決まりました。


年中の娘の作れる量はたかが知れていました。
想像力の幅も決して広くはありません。ただ、自分が「かわいい」と感じるものを作るだけ。

そうして出来上がったのが、彼女と同じくらいの女の子の手だけににぴったり収まる8つだけのアクセサリーでした。

ジャストワンサイズのみ。恐ろしくピンポイントなアクセサリー達。



ある程度サイズもカラーもバリエーションがあって、好きなものを選べるいわゆる「アクセサリーショップ」とはおよそ違った趣が、親である僕の心配の種でもありました。


会場全体の熱気が上がってきて、色んなお客さんが気軽に見てくれるようになったのですが、
小学生中学年ぐらいの子や、そのお母さんが指にはめようと試みると案の定、

「あーーー、サイズがちょっと小さいかぁ…」


と、残念がる声がもれる。

娘のことをよく知ってくれている方からも、

「あーー、ちょっと私には小さいかなー…でも欲しいなー…」


と、頑張っている娘から買ってあげたい気持ちとの間で揺れる言葉が聞こえてくる。


やっぱり、ある程度大きめのフリーサイズで作った方が売れやすかったか…という思いがむくむく湧いてきました。

でもそんな時、
少し距離のある所で指を加えながらじっと指輪を見つめる子と、
同じく遠巻きに大量の葉っぱを抱えてブレスレットを見つめる子がいることに気づきました。


ずっとお店の様子を見ることにいっぱいいっぱいで、注意を払えてなかったけど、
そういえばこの子達、さっきから何度も何度も見に来てくれているな。

好きな遊びの種類が違うから、普段いつも一緒にいるわけではない、同じ園の女の子。

葉っぱを抱えた子には「こっちはお金で買う商品だから、葉っぱとは交換できないの」と、娘が伝えていました。

指輪を見つめる子もさっき先生にこっちは「お金がないと買えない商品なんだよ。」と説明されていたのです。

でも、それでもまだ見に来てくれてたんだ…。

そう思って、彼女達の様子をもう一度よく見てみると…。


憧れるような、不安がるような、どうにもならないと悲しむような、揺れる瞳でひとつずつになったアクセサリーを一心に見つめ続けています。

そこでハッとしました。


この達は全身全霊、開店した時からずっと、このアクセサリーを欲しいと思ってくれていたんだ。

幼児の感覚だからこそ、生まれるものがある。

製作過程。

結局、そのアクセサリー達は「予約販売」という形で売れていきました。

彼女達は今お金がないけど、どうしても欲しい。
だから、お母さんに買えるかどうかきけるまで取り置いておく、「予約販売」。

「買えるかもしれない…!」
そう思った彼女達の表情の嬉しそうなこと…。

それまでお店に訪れるお客さん達に、サイズが合わずがっかりしたり、困ったりする表情を見ながら、「やり方失敗したかな」と思っていた気持ちが、このとき吹き飛びました。


娘は何も間違っていなかったんだ。


だって、彼女が「かわいい」と信じながら作った2つのアクセサリーは、彼女が想定した「自分と同じくらいの女の子」に、これほど強く「欲しい」という気持ちを生んだのですから。


誰でも使える「大きめのサイズ」ではきっとこうならなかったような気がします。

幼い娘が作った、同じような年の子の指と腕にだけぴったり収まるアクセサリー。

デザインが気に入っても、サイズが合わなければ使えません。
はめようと試みて、うまく入らなければがっかりしてしまいますよね。


けれど、その輪がぴったりおさまる人にとっては、


「これは私のためのもの!」


と強く感覚的に訴えかける力を持つんだと、この時初めて気づきました。


きっと、強く欲しがってくれたのは、園の友達である娘が作って売っていたというのもあるでしょう。
でも、それもきっとあり。作り手が誰なのかも、「私のためのもの」と感じさせる力になりますから。


娘の大好きなプリンセスである「シンデレラ」。
シンデレラのガラスの靴は、シンデレラにしか合わない。


だからこそ、ガラスの靴には価値がある。


彼女はお話のように、二人の子に、その子にぴったりなものが用意できた。

それは、ただ売れることよりも、もっと大きな価値があった気がします。


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